かゆみの原因とメカニズム|かゆみを抑える方法って? かゆい原因を知ってかゆみ対策をしよう!

季節を問わず体のかゆみ(痒み)に悩んでいる方はたくさんいらっしゃいます。金属アレルギーなど特定の原因がないのに突然かゆみに襲われると、我慢できなくてボリボリと掻きむしってしまう、なんてこともよくあるのでないでしょうか。

腕がかゆいイメージ

ですが肌を掻きむしると肌が傷つき、血がにじんたり湿疹がひどくなったりと悪循環に……、という経験はありませんか? そこでこのような肌のかゆみとその原因、日ごろからできるかゆみ対策についてまとめました。

かゆみのメカニズム

かゆみが我慢できずにポリポとついつい掻いてしまうと、最初はかゆみが引いてすっきりするけど、すぐにその部分にかゆみが再発したりひどい炎症を起こしたり……。

そんなかゆみの悪循環は、皮膚を掻くことで肌表面の表皮層が傷ついてしまい、普通なら肌本来が持つバリア機能ではね返せるような外部刺激にも過敏に反応するようになってしまうからです。

そもそも「かゆみ」とは「痛み」と同じく、なんらかの異常を知らせる体の防御反応または警告反応であり、「かゆみ」を脳に知らせる神経が存在することが分かっています。

かゆみが起こるメカニズムを簡単に説明します。

まず、皮膚表面にかゆみを誘発させるなんらかの原因が起こると、肌内部でかゆみを起こす物質、たとえば「ヒスタミン」(過剰に活性化するとアレルギーとなる)が皮膚内で排出されます。

肌表面の「表皮層」とその下にある「真皮層」の境界線近くにある「かゆみ伝達神経」の末端部分がこのかゆみ物質を感じ、脳へと「皮膚に異常があり、かゆみ物質が出ていますよ。かゆいですよ」と伝えます。

かゆみ伝達神経からかゆみの情報を受け取った脳は、そこではじめて「かゆい」という反応をし、ヒトはかゆみを感じるのです。

かゆみがかゆみを招く!?

なかには、「かゆい箇所を掻くとかゆくなくなるから、掻いてもいいでしょ?」と思われる方もいるかもしれませんね。

たしかに爪で掻くと「痛いけれどかゆみがなくなってすっきりする」という現象が起こります。これは掻いた時の「痛み」によって、「かゆみ」を伝える神経回路が抑えられるためと言われています。

しかしこの「掻くとかゆみが治まる」のは一時しのぎであり、掻くことによって肌が弱り、さらにちょっとした刺激でかゆくなり、かゆみから逃れるために掻いてさらに肌が傷つき……、という負のスパイラルに陥りがちです。

特にアトピー性皮膚炎の場合、かゆい箇所を掻いても痛みでかゆみが抑制されないばかりか、さらにかゆみ誘発物質が放出されるため、かゆみが悪化してしまいます。

かゆみ対策1.抗ヒスタミン薬

ではかゆみ対策として、どのような方法があるのでしょうか。

まずは先述したヒスタミンを抑えるための「抗ヒスタミン薬」を服用することで、かゆみを抑える方法があります。

そのためしつこいかゆみに悩まされている時には抗ヒスタミン薬を試してみることをオススメします。

【抗ヒスタミン薬が効かない症状】

アトピー性皮膚炎の場合、免疫機能が通常とは異なるため、抗ヒスタミン薬ではかゆみを抑制できません。

またかゆみの原因が皮膚表面からではなく内臓疾患による場合も、抗ヒスタミン薬では効果はありません。

たとえば糖尿病や肝臓・腎臓病の場合、オピオイドペプチドが増加することで神経が刺激され、脳にかゆみが伝達されます。

かゆみ対策2.保湿ケア

では日常生活内ではどのようにして、かゆみ対策を行えばよいでしょうか。

ちょっとした刺激でかゆみが起こる場合、肌が乾燥している可能性を高いでしょう。

肌は表面から下に向かって「表皮(層)」「真皮(層)」「皮下組織」となっています。さらに細かく見ると表皮層の一番上は、角質細胞がまるでレンガで作った塀のように積み重なって層を構成しています。この層を「角質層」(もしくは「角層」)と呼びます。

角質層の状態

さらには、レンガ塀ならレンガとレンガのあいだに接着剤としてセメントが挟まれているように、角質細胞と角質細胞のあいだには「角質細胞間脂質」があります。

この角質細胞間脂質は「セラミド」を主とした脂質層と水分子層が重なり合ってできています。ちなみにこの構造をラメラ構造と呼びます。

セラミドは水分保持能力が非常に高い脂質ですが、アトピー性皮膚炎の方や乾燥肌の方、年齢を重ねた方などは、このセラミドの量が少なくなっています。

水分保持能力、つまり保湿力が高いセラミドが少ないと、角質細胞同士をつなぐセメントが足りないということを意味するため、角質細胞同士に隙間ができ、さらに肌内部の水分がその隙間からどんどんと蒸発していってしまいます。

そのようは乾燥状態では、外部刺激から肌を守るために肌表面に張られている、皮脂や汗でできた皮脂膜も十分に機能せず、さらに肌内部の水分が蒸発してしまう悪循環を招きます。

つまりセラミド不足が乾燥状態を作り出し、その乾燥状態がさらなる乾燥状態を作ってしまうのです。

このような状態では健康的な角質細胞は育たないため、肌表面の角質細胞はもろく弱いモノとなっています。バリア機能も十分に働いていないために、ちょっとした刺激によって異常が起こり、すぐにかゆみとなって脳に伝達されてしまいます。

そこでかゆみ対策として欠かせないのが、「保湿」です。セラミド配合のスキンケアアイテムで保湿対策をすることは、かゆみの悪循環を止め、かゆみ予防としても効果が期待できます!

さらには普段から肌を乾燥させないために、たとえば洗顔や入浴時はゴシゴシと肌をこすらないように、泡で肌表面を撫でるように洗いましょう。

またお湯の温度が高すぎると、必要な皮脂まで溶かして流してしまいます。そのため洗顔時はぬるま湯程度、入浴時も40度以下を目安にし、洗顔・入浴後は保湿剤をすぐに塗るように習慣づけてください。

かゆみ対策3.栄養素摂取

さらには体の中から健康的な肌作りを行いましょう。

そのためには栄養素の摂取が欠かせません。特にビタミンA、ビタミンE、ビタミンCは肌を健やかに育てる効果があるため、意識して摂取することをおすすめします。

また皮膚はタンパク質・アミノ酸で構成されているため、良質なタンパク質・アミノ酸を摂取することも、かゆみが起こりにくい美肌作りには効果的です。

食事だけでは不足しがちならサプリメントを活用することも良いですね。

かゆみは掻かずに抑える!

どうしても我慢できないかゆみですが、悪循環を断つためには絶対に掻いてはいけません。

かゆみ予防には肌の乾燥を改善させる「保湿ケア」と「食生活の見直し」から始め、もしもそれでも改善されない場合は抗ヒスタミン薬を使用して様子を見てみてください。

保湿するイメージ

もしそれでもかゆみがひどい場合、原因はアトピー性皮膚炎や別の疾患の可能性があります。その場合は専門の皮膚科を受診し、きちんと医師の診断を仰ぎましょう!

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