アミノ酸ってなに?タンパク質とアミノ酸の働きを知って、健康になろう!

ビタミンやカルシウムという名称が一般的に知られているように、「アミノ酸」もまた、多くの方がご存じの成分であるかと思います。

しかし「アミノ酸ってどういうもの?」と聞かれると、実はあまり良くわからない……、という事はないでしょうか。

アミノ酸を含む食材イメージ

そこでここでは、アミノ酸についての基本知識を簡単にまとめてご紹介します。アミノ酸の働きが分かれば、その重要性に驚くかもしれませんよ。

アミノ酸とタンパク質の関係

アミノ酸と切っても切れない関係にあるのが「タンパク質」(英語で“protein”(プロテイン))です。そこでまずは、タンパク質についてご説明します。

人間の身体はおよそ20%がタンパク質で出来ています。身体の60%を占める水分を除くなら、水分以外の部分は「約半分がタンパク質」といえるのです。

このように、人間の身体の大半を占めるタンパク質ですが、実はタンパク質は1種類のみの物質ではありません。なんと約10万種類ものタンパク質が身体には存在するのです。

それぞれが臓器や筋肉、皮膚、骨、髪、血液などを作り、またホルモンや酵素などになったり、ウイルスなどの病原菌と戦ったりと、正常に生命活動を行うための働きを担っています。

この身体にとって欠かすことのできない10万種類のタンパク質を作っているのが、アミノ酸です。

小さなアミノ酸が数珠のようにつながり、らせん状など立体的な形で集まった集合体こそがタンパク質――つまりアミノ酸とは「タンパク質の材料」なのです。

必須アミノ酸と非必須アミノ酸

10万種類ものタンパク質を作っているアミノ酸ですが、体内にあるアミノ酸自体の種類はたったの「20」。その20種類のアミノ酸の組み合わせやつながり方の違いによって、異なる種類のタンパク質が出来上がっています。

※自然界に存在するアミノ酸はおよそ500種類と言われています。

では生命活動に欠かせないタンパク質の材料であるアミノ酸の種類を、より細かく見ていきましょう。

まずアミノ酸は「必須アミノ酸」と「非必須アミノ酸」とに分かれます。「必須アミノ酸」とは、体内で自力では作り出せないアミノ酸、という意味です。そのため必須アミノ酸は、食事やサプリメントなどで、外から摂取する必要があります。

反対に「非必須アミノ酸」は、体内で自力で作り出せるアミノ酸のため、基本的には外から摂取する必要はありません。

※非必須アミノ酸であろうとも、加齢や疲労、ストレスなどにより、体内で作り出す量が不足する場合もあるため、食事などから摂取することをおすすめします。

【必須アミノ酸9種類】
・イソロイシン ・ロイシン ・メチオニン ・トリプトファン ・リジン
・バリン ・ヒスチジン ・トレオニン ・フェニルアラニン

【非必須アミノ酸11種類】
・アスパラギン ・アスパラギン酸 ・アラニン ・アルギニン ・グリシン 
・グルタミン ・グルタミン酸 ・システイン ・チロシン ・セリン ・プロリン

タンパク質はアミノ酸に分解される!?

タンパク質、ひいてはタンパク質を構成するアミノ酸が様々な身体機能を健康的に維持するために必要であることが、お分かり頂けたかと思います。

しかしタンパク質は、摂取してもそのままの形で吸収される訳ではありません。

たとえば肉類などのタンパク質を含む食材を食べると、そのタンパク質は一度胃液(消化酵素ペプシン)などによって、まず「ペプチド」の状態にまで分解されます。

※タンパク質は、アミノ酸が数十万~数百個集まった状態を指します。
ペプチドは、アミノ酸が3~50個集まった状態を指します。例)トリペプチド:アミノ酸3種の集合体

ペプチドにまで分解された後、膵液、腸液の消化酵素により、ペプチドは最小単位であるアミノ酸にまで分解されます。

その後、そのアミノ酸は小腸の壁「小腸上皮粘膜」から吸収され、血液とともに肝臓へと送られるのです。

肝臓にまでやってきたアミノ酸は、肝臓の酵素によって、再度タンパク質に作り替えられます。そして身体の各部位で、新しいタンパク質として働きます。

つまりタンパク質を摂取すると、「タンパク質 ⇒ ペプチド ⇒アミノ酸 ⇒(新しい)タンパク質」というように分解と再合成の過程を経るのです。

アミノ酸の働き:筋肉

では具体的に、アミノ酸はどのような働きをするために重要なのでしょうか。

先述したように、タンパク質は筋肉を作っています。そのタンパク質を作っているのがアミノ酸。そのためアミノ酸は、運動能力や疲労回復力のアップ、筋肉痛の軽減などに効果があります。

ジョギングをする女性

特にアミノ酸のなかでも、必須アミノ酸に分類される「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」は合わせて「BCAA」と呼ばれ、筋肉を作るアミノ酸の約40%を占めると言われています。

そのため、運動前後や運動中にBCAAを効率よく摂取すれば、筋肉痛・筋肉疲労を軽減することができるのです。

なお、筋肉を鍛えて筋肉量を増やせば、代謝力もアップします。代謝量が上がると体脂肪が燃焼しやすくなるため、アミノ酸を摂取することはひいては肥満対策にもなります。

アミノ酸の働き:睡眠

アミノ酸と睡眠が関連しているとは、あまりイメージができないかもしれません。しかし意外にも、非必須アミノ酸のひとつ「グリシン」は、質の良い睡眠へと導いてくれる重要な要素です。

スムーズに深く眠るためには、身体の中心部の体温「深部体温」を低下させる必要があります。

グリシンを摂取すると、足の表面体温が上昇し体内の熱を外に逃すことができるため、比例して深部体温が低下するために、すみやかに深く質のよい眠りへと入っていくことができるのです。

以上から、グリシンを睡眠前に摂取すると、深い眠りを取ることができるため、短時間睡眠であっても翌朝まで疲労感を残さずにすっきりと目覚められると言われています。

アミノ酸の働き:美肌

アミノ酸は美肌づくりにも欠かせません。

肌の一番上の層である角質層には、肌の保湿力を左右する「天然保湿成分」が存在します。この天然保湿成分こそ、「セリン」「アラニン」「グリシン」といったアミノ酸なのです。

そのためアミノ酸の入ったスキンケアアイテムを塗布すると、肌の水分量が改善されたり、ターンオーバーが正常化したりなど、美肌効果が期待できます。

またアミノ酸のなかにはコラーゲン生成を促進する働きがあるモノなどが認められているため、経口摂取によっても肌の乾燥やシワなどの肌トラブルの改善が期待できるのです。

アミノ酸で健康習慣を!

私たちの身体のあらゆる場所で活躍し、生きるためになくてはならない存在であるアミノ酸。

残念ながら加齢などによって減少するアミノ酸は、食事やサプリメントなどから上手に取り入れるのが得策です。

健康的な女性

いつまでも美しく健康的に過ごすために、ぜひ良質なアミノ酸の摂取を習慣づけされることをオススメします!

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